"SITE-CONSCIOUSNESS"~《海岸線の歩行と砂の採取》
”ただのったりと、どこまでも続くこの砂浜の単調さの中に、どんなディテールがあるのか、偏在するささいな、しかし夥しい物質の中で自分がどんな反応をするのか興味があった。
ひとたび海岸に着いて歩きはじめてしまえば、そこには日常生活にはない、きわめて快適な単調さが現れる。そして、海青色した巨大な物質を前に、約10分おきに砂を拾う。
(それは人間的な尺度と感覚が肯定できる単純な行為だ。) その時、僕が手につかむものは、世界の細部、取るに足りない本当にささいなものにしかすぎないただの砂だ。”
”僕にとって微徴のものほど感動させられるものはない。
僕が最もうまく消滅できるのはそのなかである”
J.M.G.ル・クレジオ